水に溶けて酸性を示すか、塩基と中和反応する酸化物を酸性酸化物、

水に溶けて塩基性を示すか、酸と中和反応する酸化物を塩基性酸化物といいます。

また、酸・塩基のいずれとも反応する酸化物を両性酸化物、

酸性も塩基性も示さない酸化物を中性酸化物といいます。


[原則]非金属元素の酸化物は酸性酸化物,
金属元素の酸化物は塩基性酸化物。

≠[例外]CO,NOは酸性酸化物でない(中性酸化物)。
両性元素の酸化物は両性酸化物。


というように捉えると良いでしょう。


なお、一般に 酸性酸化物と水の反応では、
同じ酸化数のオキソ酸が生成します(NO2は例外!)。
NO2の場合、

NO2のNの酸化数+4と同じNの酸化数のオキソ酸が存在しないため、
水との反応は自己酸化還元反応として起こります。
冷水中では
2NO2+H2O→HNO3+HNO2
温水中では
3NO2+H2O→2HNO3+NO

という反応が起こります。
後者の化学反応式はオストワルト法のところで出てきますよね。

これら化学反応式の作り方は以下の知恵ノートを参照ください。

高校化学のオストワルト法の化学反応式まとめ


また、酸性酸化物や塩基性酸化物から

塩を生じる反応(広義の中和反応)の化学反応式、

酸化銀が過剰のアンモニウム水に溶解する際の化学反応式、
両性金属の単体やその酸化物が
塩酸や水酸化ナトリウム水溶液に溶解する際の化学反応式を作る際は、
金属の単体や酸化物が
水と反応する化学反応式をとりあえず書いてみるのがコツです。

実際に水と反応するかどうかという議論は置いておいて、
要は受験のテクニックとしてそういうものがあるよってことです。


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以下に練習問題を用意しました。
解いてみてください。理解度をはかる試金石になると思います。


[予備知識]
・純度[%]=(反応物の質量[g]×100)/(混合物の質量[g])
(*純度は質量比とも呼ばれます。この言い方だと 定義を思い浮かべやすいです。)


[問題1]

次の(1)~(4)の物質は水に溶けると酸性、塩基性のどちらを示すか。
また、これらの物質の水との反応の化学反応式を示せ。
(1)Na2O (2)CO2 (3)CaO (4)SO2


[答え]

(1)塩基性 Na2O +H2O →2NaOH
(2)酸性 CO2 +H2O →H2CO3
(3)塩基性 CaO +H2O →Ca(OH)2
(4)酸性 SO2 +H2O →H2SO3

[解説]

O^2- +H2O →2OH^-の両辺に

2Na^+を加えたものが(1)の化学反応式、
Ca^2+を加えたものが(3)の化学反応式です。


[問題2]

次の物質を酸性酸化物、塩基性酸化物、両性酸化物に分類せよ。
Al2O3,BaO,CO2,P4O10,ZnO,Na2O,NO2,CuO


[答え]

酸性酸化物:CO2,P4O10,NO2
塩基性酸化物:BaO,Na2O,CuO
両性酸化物:Al2O3,ZnO


[問題3]

銅を湿った空気中に長時間放置しておくと、その表面が緑色に変化する。

この変化を化学反応式で記せ。


[答え] 2Cu+O2+CO2+H2O→CuCO3・Cu(OH)2


[解説]

銅を湿った空気中に放置すると、表面に青緑色のさびである緑青(ロクショウ)が生じます。

その主成分は炭酸水酸化銅(Ⅱ)CuCO3・Cu(OH)2または

炭酸二水酸化二銅(Ⅱ)Cu2CO3(OH)2と表されます。

単体の銅が空気中の酸素と反応することで塩基性酸化物である酸化銅(Ⅱ)が生成し、

その酸化銅(Ⅱ)が空気中の二酸化炭素(酸性酸化物!)や水と反応する

と考えれば良いでしょう。
主成分の化学式を覚えていれば、

2Cu+O2→2CuOとCuO+CO2→CuCO3、

CuO+H2O→Cu(OH)2、

CuCO3 +Cu(OH)2 →CuCO3・Cu(OH)2を足し合わせることで作れます。
2005年の慶応(理工)や2009年の横浜市立で
緑青の主成分の化学式をきかれているので、
この化学反応式も1度自分で書いてみて納得しておくと良いと思います。
2013年の岩手大でも緑青の主成分の化学式を知っていれば

答えられる問題が出ていました。


[問題4]

リン酸カルシウムとケイ砂とコークスを混合して強熱する。この反応を化学反応式で記せ。

[答え] Ca3(PO4)2 +3SiO2 +5C → 3CaSiO3 +2P +5CO


[解説]

このとき起こる反応は、以下の(甲)、(乙)、(丙)が複合的に起こったものと

考えることができ、これらを組み合わせて作れます。


リン酸カルシウムが加熱により、

酸化カルシウムと十酸化四リンに分解する(広義の中和の逆反応)。
2Ca3(PO4)2 → 6CaO +P4O10 ・・・(甲)

塩基性酸化物である酸化カルシウムと

酸性酸化物である二酸化ケイ素が反応する(広義の中和)。
CaO +SiO2 → CaSiO3 ・・・(乙)

(甲)で生成した十酸化四リンがコークスにより還元され、リンの蒸気が生成する。
P4O10 +10C → 4P +10CO ・・・(丙)

{(甲)+(乙)×6+(丙)}×(1/2)より、

中間生成物であるCaOを消去して、
Ca3(PO4)2 +3SiO2 +5C → 3CaSiO3 +2P +5CO

なお、この反応で得られたリンの蒸気を水中に導いて黄リンP4を得ます。

4P →P4


[問題5]

次の①~⑤のうち、希硫酸とは反応するが、

濃い水酸化ナトリウム水溶液とは反応しない酸化物を1つ選べ。
①SO3
②CuO
③Al2O3
④SiO3
⑤CO2


[答え] ②


[問題6]

周期表の第3周期に属する元素の酸化物に関する記述として誤りを含むものを、

次の①~⑦のうちから2つ選べ。
①1族元素の酸化物を水に溶かすと、水溶液はアルカリ性を示す。
②2族元素の単体を空気中で熱すると、燃えて酸化物を生じる。
③13族元素の酸化物は、両性酸化物である。
④14族元素の酸化物は、共有結合でできている固体である。
⑤15族元素の単体を空気中で燃焼させると、強い吸湿性を示す酸化物を生じる。
⑥16族元素の酸化物を水に溶かすと、水溶液は中性を示す。
⑦17族元素の酸化物には、その元素の酸化数が+8(+Ⅷ)のものがある。


[答え] ⑥,⑦


[問題7]

次の①~⑤のうち、強塩基と反応して塩をつくる酸化物として適当なものを2つ選べ。
①Na2O ②MgO ③P4O10 ④CaO ⑤ZnO


[答え] ③,⑤


[問題8]

次の記述a~dに当てはまる酸化物CaO、CuO、SiO2、ZnOの組み合わせとして

適当なものはどれか。以下の①~⑤のうちから1つ選べ。
a.塩酸には溶けないが、フッ化水素酸に溶ける。
b.濃い水酸化ナトリウム水溶液に溶かし、

その溶液を弱い塩基性にしてから硫化水素を吹き込むと、白色の沈殿が生じる。
c.水に溶かすと、その溶液は強い塩基性を示す。
d.希塩酸に溶かし、その溶液に硫化水素を吹き込むと、黒色の沈殿が生じる。
① a.SiO2 b.CuO c.CaO d.ZnO
② a.ZnO b.CaO c.SiO2 d.CuO
③ a.SiO2 b.ZnO c.CaO d.CuO
④ a.CuO b.CaO c.SiO2 d.ZnO
⑤ a.SiO2 b.ZnO c.CuO d.CaO


[答え] ③


[問題9]

炭素とケイ素に関する記述として誤りを含むものを、次の①~⑤から1つ選べ。
①炭素の単体の黒鉛は、電気の良導体である。
②ケイ素の単体は、天然には存在しない。
③炭素の酸化物は、いずれも常温・常圧で気体である。
④スクロース(ショ糖)に濃硫酸を加えると、

濃硫酸の脱水作用により炭素が残り黒く変色する。
⑤二酸化ケイ素をフッ化水素酸に溶かすと、水ガラスができる。


[答え] ⑤


[解説]

二酸化ケイ素は熱に強く、化学的に安定な物質ですが、

フッ化水素やその水溶液とは反応します。


フッ化水素の水溶液を、フッ化水素酸といいます。


二酸化ケイ素をフッ化水素と反応させると四フッ化ケイ素SiF4ができ、

二酸化ケイ素をフッ化水素酸に溶かすとヘキサフルオロケイ酸H2SiF6ができます。


SiO2のSiの酸化数は+4なので、
便宜上Si4+と表すことにします。

すると、
フッ化水素と二酸化ケイ素の反応
SiO2 +4HF →SiF4 +2H2Oは、
Si4+ +4F- →SiF4の両辺に
2O2-,4H+を加えることで作れます。

他方、
フッ化水素酸と二酸化ケイ素の反応
SiO2 +6HF →H2SiF6 +2H2Oは、
Si4+ +6F- →SiF62-
の両辺に
2O2-,6H+を加えることで作れます。

どちらも錯イオン形成反応みたいなものですね。

それぞれSiF4,SiF62-が生成することだけを覚えておけば、
丸暗記は不要です。


また、SiO2も高温であれば塩基と徐々に反応します。
NaOHまたはNa2CO3の固体と強熱すると、ケイ酸ナトリウムを生じます。

これらは広義の中和反応の一種ですね。
SiO2 +2NaOH → Na2SiO3 +H2Oは

SiO2 +H2O →H2SiO3と

H2SiO3 +2NaOH →Na2SiO3 +2H2O

を合わせることで、
SiO2 +Na2CO3 → Na2SiO3 +CO2は

SiO2 +H2O → H2SiO3と

Na2CO3 +H2SiO3 → Na2SiO3 +H2O +CO2

を合わせることで作れます。
Na2CO3 +H2SiO3 → Na2SiO3 +H2O +CO2は、

硫酸の不揮発性を利用している反応と似ていますね。


ケイ酸ナトリウムは水溶性の物質で、ケイ酸ナトリウムに水を加えて加熱すると

粘性の高い液体が得られ、これを水ガラスといいます

(ケイ酸ナトリウムの水溶液を水ガラスといいます)。
水ガラスに塩酸を加えると、ケイ酸が白いゲル状沈殿として遊離します。
Na2SiO3 +2HCl → H2SiO3 +2NaCl

H2SiO3は弱酸であり、この反応は弱酸遊離反応の一種です。

ケイ酸をほどよく乾燥させるとシリカゲルが得られます。
シリカゲルは化学式でSiO2・nH2O(0<n<1)と表されます。
H2SiO3 → SiO2・nH2O +(1-n)H2O
シリカゲルは多孔性の物質で、乾燥剤や吸着剤などに用いられます。


[問題10]

リンの単体は、リン酸カルシウムを主成分とするリン鉱石を、

電気炉でケイ砂やコークスと強熱して製造する。

リン酸カルシウムを87%の純度で含むリン鉱石が500gある。

これから得られるリンは何gか。

また、これを燃焼させると何gの十酸化四リンが得られるか。それぞれ整数値で答えよ。

ただし、原子量をそれぞれO=16,P=31,Ca=40とする。


[答え]87 g,199 g


[問題11]

次の文の( )内のA~Dに当てはまる語句の組合せはどれか。
下の①~⑤の中から最も適当なものを1つ選べ。
二酸化炭素は、炭素または( A )の( B )燃焼のほか、

生物の呼吸や糖類の発酵によっても生成される。

 二酸化炭素は空気より( C )気体で、水に少し溶け、弱い( D )を示す。
①A:無機化合物 B:不完全 C:重い D:アルカリ性
②A:炭素化合物 B:完全 C:重い D:酸性
③A:酸素化合物 B:不完全 C:軽い D:アルカリ性
④A:無機化合物 B:完全 C:軽い D:酸性
⑤A:炭素化合物 B:不完全 C:軽い D:アルカリ性


[答え] ②


[問題12]
銅は湿った大気中に放置されていると、表面が化合物Xに変化する。
緑色の化合物Xは、

銅(Ⅱ)イオンCu^2+と炭酸イオンCO3^2−および水酸化イオンOH^−からなる。

また、化合物Xを熱分解すると、

酸化銅(Ⅱ)、二酸化炭素および水が得られ、

それらの重量比は、それぞれ、72%、20%、8%であった。

化合物Xを構成する銅(Ⅱ)イオンと炭素イオンおよび水酸化物イオンの

粒子数の比(Cu^2+:CO3^2−:OH^−)を最も簡単な整数比で答えよ。

ただし、原子量をそれぞれC=12,H=1,O=16,Cu=64とする。


[答え]
Cu^2+:CO3^2−:OH^−
=2:1:2


[問題13]

水酸化ナトリウム水溶液に通じたときに、特に吸収されにくい気体を次から2つ選べ。

一酸化炭素、二酸化炭素、酸素、塩素、塩化水素、

二酸化硫黄、硫化水素、二酸化窒素、アンモニア


[答え]一酸化炭素、酸素


[問題14]

酸および塩基に関する記述として正しいものを次の1から5から1つ選べ。
1. 次の電離反応では水は酸としてはたらいている。
H2SO4+H2O→H3O++HSO4-

2. 0.10mol/Lのシュウ酸水溶液のpHは、0.10mol/Lの塩酸のpHより小さい。

3. 0.10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の水酸化物イオン濃度と

0.10mol/Lの水酸化バリウム水溶液の水酸化物イオン濃度は等しい。

4. 酸化ナトリウムを水に溶かすと塩基性を示す。

5. 硝酸と水酸化マグネシウムは1:1の物質量の比で過不足なく中和する。


[答え] 4.